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浅口と厚岸のアッケシソウ
令和7年度は、北海道厚岸町と浅口市のアッケシソウの生長を1年間観察します。
北海道厚岸町のアッケシソウについて
厚岸町のアッケシソウは、明治24年(1891)に厚岸湖の牡蠣島において初めて発見、採取され、札幌農学校(現北海道大学)宮部金吾教授によって、その採取地である厚岸の名を冠して「アッケシソウ」と名付けられました。大正10年(1921)には、「厚岸湖牡蠣島の植物群落」として国の天然記念物に指定されました。しかし、波浪や流氷、昭和27年(1952)の十勝沖地震や昭和35年(1960)のチリ沖地震などにより牡蠣島の地形が変化し、干潮時でも水没している状況になり、今後、回復も見込めないことから、平成6年に天然記念物の指定が解除されました。厚岸町教育委員会では、平成4年(1992)に厚岸湖岸のチカラコタン地区に試験栽培地の造成を実施するなど、アッケシソウの保護増殖に取り組んできました。郷土館前では昭和57年(1982)より人工栽培を行い来館者を楽しませています。平成17年(2005)に港町に造成した栽培地は当初良好に育成しておりましたが経年とともに他の植物が繁茂する中での試験栽培となりました。平成26年(2014)からは海事記念館前庭にプランターを設置し、土質や肥料などの条件を変えての試験栽培を行っています。
浅口市寄島町のアッケシソウについて
浅口市のアッケシソウは、平成15年(2003)に寄島町干拓地で初めて発見されました。平成16年(2004)には、アッケシソウは、当時の寄島町天然記念物に指定しました。同年に「寄島町アッケシソウを守る会」が結成され、アッケシソウの保護活動が開始されました。アッケシソウを守る会では、アッケシソウ自生地及び周辺の清掃及び環境整備に努めています。具体的には、年10回程度、雑草の草刈りや環境整備、アッケシソウの生態観察、分布調査や塩分濃度測定等の生育条件の記録、巡視等を実施されています。アッケシソウを守る会の約20年間に亘る保護活動で、アッケシソウ自生地の生息範囲は当初の約460平方メートルが約3,000平方メートルに拡大しています。この間には、異常気象の影響で発生した毒性ラン藻類によりアッケシソウが大量枯死したこと、日本初確認のヨリシマアッケシソウキバガの幼虫により、アッケシソウの茎内部が食害を受けた被害等が発生しています。
アッケシソウの生長記録
浅口市・アッケシソウ自生地B地区 | 厚岸町・チカラコタン地区 | |
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4月 |
4月1日撮影 |
4月23日撮影 |
5月 |